税務署は申告をしないときに、なぜ財産があることがわかるのでしょうか?

税務署は人が亡くなったことを把握しています。 人が亡くなった場合、戸籍法の規定により、遺族の方は死亡届を住所地の市区町村役場に提出する必要があります。相続税法58条の規定により、この死亡届を受理した市区町村は税務署に亡くなった人を報告する義務があるのです。これにより税務署は人が亡くなった事実を把握しています。 税務署は法務局に不動産登記も確認しています。 相続により不動産を取得した場合には、不動産登記つまり名義変更をしなければなりません。名義変更する場合には、その変更理由を記載する必要があり、そこに「相続」と記載すると相続により財産を取得したと判明します。以前までは相続により不動産を取得しても登記の義務がありませんでしたが、2024年4月1日からは相続登記が義務化されたため、相続しても名義変更していない状態はなくなると考えられています。 また、税務署の調査権限は強力で、裁判所を通さずに申告漏れが疑われる案件について、銀行や証券会社に亡くなった方名義の口座を照会することができます。 税務署からのお尋ね 住所地の市区町村から死亡届が提出された旨の連絡を受けた場合、税務署は亡くなった方のご遺族に「相続についてのお尋ね」という書類を送付します。通常亡くなってから6~8か月ほど経って送られてきます。書類の内容は、相続税の申告期限が10か月以内ですから、相続税の申告をお忘れなくという趣旨のものです。しかし、この書類の本当の目的は故人の財産状況を伺うためのものです。被相続人の職業、相続人の人数、預貯金の額、所有していた不動産等、相続税の申告が必要かどうか判断するためのお尋ねとなっています。 このような税務署の調査権限は強力で状況を詳しく把握しています。