受益権売買スキーム(ジュエキケンバイバイスキーム)

相続・事業承継対策において、流通税の軽減を主な目的に活用される手法。 相続税対策として、個人が保有する不動産を同族会社たる資産保有法人に売却したい場合、通常の所有権で不動産を売買すると、不動産登記(売買を原因とする所有権移転登記)における登録免許税が土地は1.5%、建物は2%発生する。また、買主たる法人には、不動産取得税3%が課税される。 これに対し、家族信託を活用した場合、対象不動産を信託財産に入れ(不動産の受益権化)、受益者(個人)が資産保有法人に不動産ではなく「信託受益権」を売却することで、不動産の所有権の売買と同様の効果を実現ししながらも上記の流通税(登録免許税・不動産取得税)負担を軽減することができます。受益権売買の場合、信託設定時の不動産登記(信託を原因とする所有権移転登記)の登録免許税が土地は0.3%(1.5%→0.3%)、建物は0.4%(2%→0.4%)、受益権売買時の登記(信託目録の受益者変更登記)の登録免許税は1物件あたり金1,000円となります。また不動産取得税は課税されない(3%→0)で済む。 所有権売買よりもコストがかからず大きな効果を発揮すると考えられていますが、対象となる不動産を信託受益権化した場合、手続上の負担や支出する経費が増大することになります。 負担増に耐えられる程度に規模の大きく築年数の浅い不動産であれば、信託受益権化によるメリットを享受することができるといえます。