自己信託(ジコシンタク)

「委託者=受託者」とする信託の仕組みで、自分が自分にする信託、「信託宣言」とも言う。(信託法第3条第3項) 受益者のために自己の財産を管理・処分等する信託の形態をいいます。 「委託者=受託者」なので、財産の所有者が単独で設定できます。 原則として受益者は、委託者(財産の所有者)以外の者がなるので、自己信託が行われた時点で、財産権が移動したことになり、「みなし贈与」として贈与税の課税対象になる。 自己信託を設定することで①「親から子への贈与」②「子から親への信託」の機能を持っているため、財産は生前贈与で子に移しておき、子供に財産をすぐに消費されるのを防ぐため財産の処分権限は親の手元に残しておくことが可能となります。具体的には「まだ若い子供への贈与」「中小企業などの事業承継」のおいて活用されている。 家族信託の倒産隔離機能により、たとえ委託者が破産しても信託財産には強制執行されなくなります。一方、倒産隔離機能を濫用して、債権者からの債権回収を回避する目的で自己信託を利用する場合(これを「詐害信託」といいます。)も考えられるため、法律では詐害信託を念頭においた規定が定められています。 ⓵自己信託は公正証書や公証人の認証を受けた書面(又は電磁的記録)にしなければならない。 ⓶委託者の一般債権者は、信託設定時から2年間に限り、詐害信託の取消訴訟をすることなく、信託財産に対し強制執行を行うことができること(信託法23条2項)。 また、受託者が受益権の全部を固有財産で保有する状態が1年間継続した場合は信託が終了(信託法第163条第2号)することにも注意が必要です。