債務を家族信託の対象とすることは出来るの?

借金や保証債務など、マイナスの財産については、財産的価値がないため信託財産とすることはできません。しかし、委託者の債務を受託者が債務引受し、信託財産をもって履行するものとする内容の信託の設定は可能です。

信託をすることができないものとして下記のものがあげられます。
① 生命、名誉
② 債務、連帯保証(いわゆるマイナス財産は信託できません)
③ 一身専属権(生活保護受給権や年金受給権)

しかし、例えば事業を信託したいというようなケースにおいてはプラス財産のみならず、マイナス財産である債務をも信託したいという場面あります。
このような場合に、債務については債務引受により受託者に移転し、その債務を信託財産の中から履行するという信託を設定することが可能です。つまり積極財産を信託し、債務については信託行為の内から支払う債務引受という形をとることで、積極財産と併せて債務も受託者に移転することが可能となります。
なお、債務引受については、新しい債務者が債務を引き受け、元の債務者が債務を免責される「免責的債務引受」と、新しい債務者と元の債務者が共に債務を負担する「重畳的債務引受」があります。免責的債務引受の場合、債権者の合意が必要となります。