不動産の信託登記をする意味は?

家族信託をする際に登記が必要となるのは、信託財産に不動産が含まれ場合です。
不動産のような価値が大きく大切な財産については、信託財産であることが分かりやすく表記されていなければ予測できないリスクが生じてしまうかもしれません。
そこで、不動産など登記できる財産を家族信託の目的とする場合には、登記することでその財産が信託財産であり受託者の債権者等に対しても取得できない財産であることを主張できるとされています。

例えば、委託者が信託財産として不動産を受託者に託しても、その後に委託者が他の誰かに譲渡してその旨の登記を備えると、受託者が権利を主張することができなくなってしまうのです。
また、受託者の債権者の差し押さえや信託財産が債権者の手に渡ってしまうことを防ぐことが登記により可能です。

ここで、信託財産のうち不動産に関する「登記」については実は2つあります。「所有権移転登記」と「信託登記」の2つです。

「信託登記」
不動産を信託した場合に、信託契約の内容を登録するための登記。
信託法では、受託者が所有している固有財産と受託した信託財産を別々に管理する分別管理義務を負っています。そしてこのことを公表しておく必要があるのです。
信託財産が不動産の場合にはこの信託登記については必須となります。

所有権移転登記
信託財産となる不動産の登記名義を「委託者」から「受託者」へと移転する登記です。
現状は「所有権移転登記」は法的に必須ではありませんが、登記しておかないと、家族信託したことを第三者に主張することができません。そのため、例えば委託者が信託財産として不動産を受託者に託しても、その後に委託者が他の誰かに譲渡してしまい登記を備えると、受託者が権利を主張することができなくなります。
また、信託財産である不動産を管理している受託者の判断で必要なタイミングで売却すること等ができないため、そもそも家族信託した効果が失われてしまいます。