家族信託と遺言の違いについて

家族信託と遺言書の大きな違いは、効力発生時期が異なります。
家族信託契約では、契約自由の原則から両当事者が望む時期から効力を発生させることができます。
家族信託契約における目的のひとつに、認知症等により委託者が財産の管理を十分にできない事態に備えて、財産を家族が管理できるようにしておくことがあります。
そのため、委託者の生前から家族信託契約を発効させるものが多いです。

これに対して、遺言は、遺言者(遺言書を書いた人)の死亡により効力が生じます。
遺言者が亡くなるまで、その最終意思である遺言は何度でも書き換え可能ですが、遺言者の生前に財産を移転させる効力はありません。そのため、認知症対策として遺言を利用することはできません。

また、遺言はご本人の財産を承継した方の次々世代承継を決めることは出来ませんが、家族信託では複数の世代にわたっての資産承継を契約で定めておくことが可能です。