新受託者への信託財産の引継ぎはどのように行われるの?

信託事務の引き継ぎにはおもに2つです。① 不動産登記情報の変更 ②預貯金の引き継ぎ

①不動産登記情報の変更
信託財産に不動産が含まれている場合には、不動産登記情報の変更です。
不動産登記情報の変更は法務局で行われ、受託者と共同申請する必要はありません。
不動産登記情報の変更では、所有権移転登記と信託登記を行うことになりますが、所有権移転登記手続きをすれば登記官により同時に信託登記も実施されるます。なお、受託者変更の際の所有権移転登記は登録免許税が不要です。

②預貯金の引き継ぎ
金融機関に、信託契約書などの第二受託者になることの証明できる書類を提出します。この際、第二受託者名義の口座への送金もおこないます。
ただし、信託財産を管理していた口座が専用の信託口口座でない場合、普通口座で管理していた場合は、通常の相続と同じ手続きで解約する必要があります。

通常の相続と同じ手続きで解約する場合は、相続人の協力を得られない場合引継ぎができないケースや、引き継ぎの手続きに時間が要すこともあるため、信託財産を管理する場合は信託口口座を開設したうえで管理するようにしてください。

信託財産の保管と管理
新受託者が決まっていない場合、新受託者が決まるまでは信託財産は、受託者の相続人が保管と管理を行います。新受託者が決まるまで信託財産を保管し、信託事務の引き継ぎに必要な行為を行います。(信託法60条2項
)。
財産を正式に引き継ぐわけではなく、財産保全のために一時的に管理する義務が発生します。
受託者の相続人や成年後見人、保佐人が不在であったり、相続人がいたとしても幼少であったり、海外在住などで信託財産の管理が難しい場合があります。この場合、利害関係人からの申立てにより、裁判所が「信託財産管理者」を選任し、管理を命じます。(信託法63条1項)