信託財産責任負担債務

信託財産責任負担債務とは、信託財産から支払う(履行すべき)義務を負う債務のことをいいます。(信託法第21条一項)
信託財産は、委託者の手を離れて受託者の名義に移るため、原則として委託者や受託者の債権者は、その信託財産に対して強制執行等をすることができなくなります。いわゆる「倒産隔離」とよばれるものです。
しかしながら、例外としてある一定の債務(債権者側からは債権)は、信託財産についても支払うべき義務を負わせることが可能としました。

例として、信託前に設定されていた抵当権です。この場合には債権者側の不利益にならないよう、債権者に対して、抵当権を設定亭知る不動産を信託財産にすることへの承諾をとることになります。

他には、受託者が、自らの権限において信託財産のために行った借入金。信託契約において「受託者は、受益者の財産運用や節税対策などを積極的に行うために、賃貸物件の建築などを銀行借入れをふくめ実施することができる」という権限を与えられている場合、銀行から借入れを行い、賃貸マンションを建築します。この場合、当然に賃貸物件には銀行の抵当権が設定されますし、その銀行で開設した口座についても、万一債務不履行の場合は差し押さえの対象となります。

尚、信託財産のみが責任財産となるものと、受託者の固有財産も含めて責任財産となるものとあります。