受託者が実際に不動産を処分(担保権の設定や売却)する場合、受託者一人でできるのですか?

受託者には、信託財産の管理、処分や信託の目的達成のために必要な行為をする権限を有しています。
ただし、担保権の設定など実際のケースとして、受託者にその権限があるのかどうか判断に迷うこともあるため、信託契約の中に受託者の権限について具体的に明記しておく事を勧めます。

ちなみに、家族信託した不動産を売却する場合に方法は②つあります。

①不動産自体を売却する
1つ目は、不動産自体を売却する方法です。不動産の売主は受託者になり、不動産を売却した対価として売却代金を受け取ります。売買代金は、受託者名義で新たに開設した信託金銭管理用口座に入金してもらいます。
前述した通り、信託不動産を売却するためには、信託契約書の中で「受託者が信託不動産を売却できる」という権限を定め、その売却権限が信託登記されている必要があります。売却権限について定めがなければ、受託者による売却はできません。

②受益権を売却する
2つ目は、信託不動産にかかる受益権を売却する方法です。受益権とは受託者の管理や運用によって出た利益を受け取る権利のことです。
ここでは、不動産自体を売却するときとは異なり、売主は受益者となります。受益者は受益権を売却する対価として、売買代金に相当する金銭を受け取ります。
受益権を売却する場合には、信託契約契約書の条項の確認が必要です。家族信託では、信託契約書に「受益権は処分できない」「受益権を譲渡、処分するには受託者の同意を要する」といった条項が設定されていることがあります。処分できないとあれば売却はできませんし、「受託者や他の誰かの同意を要する」と記載されていれば、その者の同意が必要になります。