家族信託の締結後に、委託者が認知症になりました。家族信託はどうなりますか?

①契約締結と同時にその効力が発生する契約内容の場合
契約締結と同時にその効力が発生する契約内容であれば、信託契約が成立後、受託者による信託事務が行われるようになります。そのため、家族信託契約は委託者の判断能力に影響を受けることはありません。

②条件付き契約(認知症になってから契約発動)の場合。
「ひとまず契約は締結するが、今はまだ元気なので、委託者の判断能力が低下した時点で契約の効力を発動させたい。」といった内容の契約です。これには注意が必要です。
実務上において親の判断能力低下について判断する基準があいまいとなるリスクがあるからです。これでは成年後見制度の代用、つまり認知症対策としての家族信託の意味が失われてしまっています。
こういったリスクの観点からも、特に条件などはつけずに契約締結と同時に効力を発生させる内容が望ましいといえます。