信託管理人とはなんですか

信託管理人とは、受益者が現に存在しない場合に、受益者に代わって信託を管理する人です。
家族信託では、受益者は必ずしも契約締結時に存在している必要はありません。例えば、将来生まれてくるであろう子を受益者に指定するといったことも可能です。こういった場合には、受益者としての権利を行使する人がいないため、受益者が実際に存在するようになるまで、受益者に代わり受託者の管理・監督を行う人が必要です。このような趣旨から規定されているのが信託管理人です。

信託管理人は受益者が本来受けるべき利益を損なわないように受益者に代わって権利を行使します。信託管理人は受益者が有する信託法上の一切の権利を行使できます。受益者の権利については、実際に信託財産を管理する受託者を監督するための権限も含まれており、万が一、受託者にふさわしくない行為があって受益者の権利が損なわれるような場合には信託管理人により対応できることになります。

信託管理人は、信託契約にて指定する方法、または、利害関係人の申立を受けて裁判所により選任される方法があります。ただし、次に挙げる者は信託管理人になることができません。
①未成年者 ②成年被後見人 ③被保佐人 ④当該信託の受託者(信託法第124条)

親族間で民事信託を利用する場合、故意に受益者の利益を損なうような行為にいたる受託者は少数であると考えられますが、その行為が受益者の利益を損なうことになるとは気付かずに受託者の事務を行ってしまう可能性があります。そのような万が一に備えて信託管理人を状況に応じて活用していきましょう