若干の物忘れがあるのですが、家族信託することはできますか?

本人に、若干の物忘れがあっても、家族信託ができなくなるということはありません。
ただし、原則として、ご本人様の認知症が進行し判断能力がないと判断された場合は、家族信託および各種契約(売買契約、賃貸借契約等)を結ぶことはできません。
物忘れが脳の認知機能の著しい低下であれば慎重な判断が求められますが、そうでないケースとして判断能力に問題がない軽度認知障害であれば契約を結べる可能性があります。
たまに物忘れがある程度の軽症で、家族信託の契約内容についてしっかり理解できていると確認できる場合です。
軽度認知障害については、「物忘れが主な症状ですが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態」と厚生労働省のホームページに説明があります。
軽度認知障害の定義として①記憶障害の訴えが本人または家族から認められている②日常の活動は正常③全般的な認知機能は正常④年齢に比べて記憶力が低下⑤認知症ではない
このように、本人または家族に物忘れの実感はあっても、日常生活に大きな支障が出ていないケースが軽度認知障害です。

では、軽度認知症の方の家族信託はどのように行うのでしょうか。
まずは判断力の有無を確認します。公証役場にて公証人の立ち合いのもと、契約者が契約内容について理解しているのを確認し、公証人から見て契約書の内容を理解できていると判断されれば家族信託の契約を結べるのです。
また、「要介護認定」を受けている方でも、身体的な介護度が高いだけで、判断力が低下していなければ契約を結ぶことができます。