納税額が違っていたらどうすればよいのか

本来納めるべき額よりも多くの相続税を納税した場合には「更正の請求(こうせいのせいきゅう)」という手続きを行うことができます。 更正の請求は納め過ぎた分を還付して(払い戻し)もらうことができるものです。 更正の請求ができる期限は原則として相続税の申告期限から5年となっています。 申告期限は相続開始から10カ月ですから、被相続人の死亡から5年と10カ月が期限の目安になります。 ただし、例外として例えば申告期限までに遺産分割が整わなかったため仕方なく暫定数値で申告手続きを行い、その後遺産分割が確定したなど特別な事情がある場合については、その事情が発生したことを知った日の翌日から4か月以内であれば、上記の5年10か月を過ぎていても更正の請求を行うことができます。 本来の納付額よりも税金を多く納めているという事実は国側にとっては不利なことではないので、「納め過ぎていますよ」ということを知らせてくれることは通常ありません。 一方で、本来よりも少ない税額で申告してしまった場合、足りない分を追加で納税するために「修正申告」という手続きが必要になります。この場合、足りない分の差額を納めてそれで終わり、とはならないことです。下記のようなペナルティーがあります。 ①延滞税(えんたいぜい) 一般の借金でいえば遅延利息にあたるのが延滞税というもので、不足分の税額について、本来の納税期限から実際に納付がされるまでの間に一定の税率で課税されます。 原則として、納税期限から二か月以内の税率は年7.3%、二か月を超えると年14.6%の税率になります。 納付期限から二か月以内は「年7.3%」と「延滞税特例基準割合+1%」を比較してどちらか低い方 二か月を超える期間については「年14.6%」と「延滞税特例基準割合+7.3%」を比較してどちらか低い方の税率が適用になります。 特例基準割合は年によって変動がありますが、令和6年について納付期限から二か月以内は2.4%、二か月超は8.7%となっています。 ②過少申告加算税(かしょうしんこくかさんぜい) 過少申告加算税は本来よりも過少に税額を申告したこと自体に対するペナルティで、懲罰的な意味合いがあるものです。 ただし、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に修正申告をした場合はこの過少申告加算税は課税されません。 しかし一旦税務調査の事前通知を受けてしまうと、実際に税務調査を受ける前に修正申告をしたとしても本加算税が課税されます。 税務署に指摘されて修正申告をおこなった場合、追加納付した金額の10%が過少申告加算税として課税されます。なお、追加納付金額が当初申告した相続税額を超えている場合、もしくは50万円を超えている場合、超える部分に対しては15%の過少申告加算税が課税されます。 ③重加算税(じゅうかさんぜい) 相続財産の隠ぺいや仮装があった場合など、悪質性の高い申告漏れの場合は過少申告加算税よりも重い35%という税率で重加算税が課せられます。(追加納付した税金額の35%)。 もし悪質性の高い手法で相続税の申告自体を逃れていた場合は40%の税率が適用されます。