マイホーム資金をもらったらどうなるのか

住宅取得等資金の贈与税の非課税措置とは、親や祖父母といった直系尊属から住宅の購入や増改築のためのお金を受け取っても、一定額まで贈与税がかからない制度です。贈与を受ける年の1月1日時点で、18歳以上の受贈者が対象になります(ただし、2022年3月31日以前の贈与により財産を取得した場合は20歳以上)。 非課税限度額1000万円の要件 新築・購入・増改築の契約をした場合、贈与税の非課税の上限額は、省エネ・耐震性・バリアフリーの住宅のばあい、1000万円。これ以外の住宅のばあい、500万円となります。 特例を活用する要件 また住宅取得等資金の贈与の非課税の特例を受ける住宅は、主に下記の要件を満たさなくてはいけません。 【住宅の要件】①日本国内にある住宅であること ②対象となる家屋の床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつ床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるもの  【受贈者の要件】①贈与者(贈与する方)の直系卑属(子や孫)であること ②贈与された年の1月1日時点で18歳以上であること(令和4年3月31日以前の贈与については20歳以上)③ 贈与を受けた年の所得税の合計所得金額が2,000万円以下であること(床面積が40㎡以上50㎡未満の場合には、1,000万円以下)④住宅取得等資金の贈与税非課税特例の適用を受けたことがないこと 実際の非課税枠はもっと大きい この制度を利用する時の非課税枠は、そもそも贈与税自体にも「基礎控除」という非課税制度があるため前述の金額以上になります。まず贈与税には「暦年課税制度」「相続時精算課税制度」の2つの制度があります。 住宅取得等資金の非課税枠1000万円を使う時は、実際の贈与税の非課税額は次のようになります。 「暦年課税制度」を利用…基礎控除額110万円+非課税枠1000万円=1110万円まで非課税 「相続時精算課税制度」を利用…基礎控除額110万円(年間)+特別控除額2500万円(累計)+非課税枠1000万円=3610万円まで非課税 2023年度税制改正大綱で、暦年課税制度を使った生前贈与の持ち戻し(生前贈与された財産を相続財産に戻した上で相続税を計算するルール)の対象期間が死亡前3年から7年に延びたり、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除枠が新たに加わったりと、相続に関連する課税ルールの大きな見直しがあり、2024年1月1日から適用されています。 単純に、「生前贈与したら相続税はかからない」と思う人が多いのですが、生前贈与をしても相続税の対象となることがあります。次のような場合です。 ① 死亡日以前の7年以内に通常の贈与(暦年課税制度)で贈与した時(2023年度の税制改正に伴い、2024年1月1日以降の贈与については、これまでの3年から段階的に期間が延長されました。2031年1月1日からは完全に7年間の加算になります) ② 相続時精算課税制度の適用を受けて贈与した時 もちろん、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置の部分は、相続税の対象とはなりません。例えば、親が亡くなる2年前に住宅取得等資金の非課税措置と暦年課税制度を使い、合計1110万円の購入資金を親から受け取った場合、非課税枠の1000万円は、相続財産に持ち戻さなくていいわけです。また、相続時精算課税制度を併用して3610万円を受け取った場合、非課税枠1000万円は持ち戻さなくてもよいことになります。これに加え、2024年1月1日以降の贈与分については、基礎控除額である年110万円の部分も相続財産に持ち戻す必要はありません