遺産相続手続きをせずにそのまましておくとどうなりますか

遺産相続手続きには、期限がありますので放置することでさまざまなデメリットが生じます。 ①相続をするのか?相続しないのか? 相続があったことを知ったときから3カ月以内に相続をするのか、相続しないのか判断し手続きを行わなければ、自動的に相続を承認したものとしてみなされてしまいます。 注意しなければならないのは、相続財産には負債もふくまれている店です。プラスの財産によって負債などのマイナス財産が返済できる場合ならまだしも、プラスの財産よりもマイナスの財産が上回る場合については持ち出しをしなければいけなくなります。マイナスの財産を相続したくない場合は、家庭裁判所に相続放棄の手続きを取らなければなりません。 ②預貯金を放置 預貯金は金融機関に対する預金債権のことです。預金債権は一般的に10年で時効消滅します。相続開始して、金融機関に連絡をしないまま10年経過すると預金債権が消滅する可能性があります。実務上は金融機関によって判断が分かれるようですが、払い戻しができる場合においても通常の手続きとくらべ煩雑になるよるため早めに対応することをすすめます。 ③不動産の名義変更を放置 以前は不動産の名義変更に期限はありませんでした。名義変更に期限がなかったことで日本全国で亡くなった方名義の不動産が多く存在することとなり、いざ名義変更しようとすると、相続人の数が多くなりすぎ相続人の中に会ったこともない相続人が出てきて遺産分割協が困難となってしまったなどの問題が発生しました。また、名義変更できたとしても多大な費用や時間を要してしまいます。2024年からは相続登記の義務化がスタートし、正当な理由なく、相続の申請義務を怠った場合は10万以下の過料が適用されます。これを機に不動産の名義を確認し可能であれば手続きをすすめてみてください。 ④相続税の申告・納付を放置 相続税の申告が必要な場合、相続開始から10カ月以内に相続税の申告および納付が必要となります。放置すると、延滞税や不申告加算税などがかかってきます。相続開始から10カ月以内に相続人間による遺産分割協議を成立しない場合は各相続人が未分割の財産について、法定相続分の割合によって相続したものとみなして相続税の申告と納付をする必要があります。この場合、遺産を相続しないとしている相続人も一旦は相続税の納付をする必要があります。可能であれば早めに遺産分割を成立しなければなりません。