[学ぶ・知る] 相続税ゼロでも申告は必要?まさかの落とし穴

「相続税ゼロでも申告は必要?まさかの落とし穴」

母が亡くなり、実家を相続することになりました。母と二人で暮らしていた家ですが、私にとっては思い出の詰まった大切な場所。相続手続きを進めるため、知人の紹介で税理士先生を訪ねました。

「お母様のご逝去、心よりお悔やみ申し上げます。さっそくですが、相続財産の内容をお聞かせいただけますか?」

私は預金通帳と不動産の資料を先生に手渡しました。「実家と少しの預金だけです。小規模宅地の特例を使えば、基礎控除内に収まるはずなので、相続税はかからないと聞いています。なので、申告はしなくてもいいんですよね?」

先生は私の話を聞きながら、静かに頷きました。「確かに、おっしゃる通りです。小規模宅地等の特例を適用すれば、土地の評価額は大幅に減額され、基礎控除額(3,000万円+法定相続人1人あたり600万円)の範囲に収まる可能性が高いでしょう。しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。」

「落とし穴、ですか?」私は思わず身を乗り出しました。

「はい。その小規模宅地等の特例は、相続税の申告書にその旨を記載して、税務署に提出しなければ適用されません。つまり、申告をしないと特例が使えず、本来の土地の評価額で計算されてしまいます。つまり特例を適用して2割の評価であった不動産が、10割の評価として計算されてしまうのです。その結果、基礎控除を超える相続財産と見なされ、相続税が発生し、さらに無申告加算税や延滞税が課されることになってしまいます。」

私は「相続税がかからないから申告は不要だと、勝手に思い込んでいました。」

「先生、本当に危ないところでした。どうすればいいですか?」

「ご安心ください。まだ間に合います。特例の適用に必要な書類を揃え、期限内に申告すれば問題ありません。私と一緒に一つずつ確認していきましょう。」と穏やかに答えました。

まとめ

相続自体が人生のうちでそうそうに体験することもないですし、「相続税がかからない=申告が必要ない」、何もしなくていいいと勘違いしてしまうのは致し方ないことなのかもしれません。

申告が必要なものとして

配偶者の税額軽減」
「小規模宅地等の特例」
「相続財産を寄付した場合の非課税の特例」

これらを適用される場合は申告が必要となってきますので注意が必要です。

ここでは、相続税がゼロでも申告が必要なケースがあること。そして、自己判断には危険性があること、専門家のアドバイスを仰ぐことの重要性を、改めて学ぶお話でした。

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