『空き家3000万円特別控除』2024年拡充ルールの活用法[相続のお話]

『空き家3000万円特別控除』2024年拡充ルールの活用法

【空き家売却の譲渡所得控除:耐震・解体要件緩和】売却後の翌年2月15日までに買主が取り壊せば適用可能になった最新改正

岡本雄二は、母が一人で暮らしていた実家を相続したものの、築五十年近い古い木造住宅をどう扱うべきか悩んでいた。誰も住む予定はなく、早めに売却したいと考えていたが、不動産会社に相談したところ、思わぬ壁があることを知らされた。「相続空き家の三千万円特別控除を使うには、売却前に耐震基準を満たすリフォームをするか、建物を取り壊して更地にしておく必要があります」。母が長年暮らしてきた家だけに、雄二もどう手放すべきか、なかなか踏ん切りがつかずにいた。

雄二は困惑した。古い木造住宅の耐震改修には数百万円単位の費用がかかると見積もられ、取り壊すにしても解体費用がかさむ。特例を使えば譲渡所得から三千万円を差し引けるため、税負担は大きく軽減されるはずだったが、それを受けるための初期費用が重荷になっていた。「特例のために先にお金をかけるくらいなら、いっそ古家付きのまま安く売ってしまおうか」と、雄二は半ば諦めかけていた。

そんな折、税理士から思いがけない情報を教えてもらった。「令和六年一月以降の譲渡から、この特例の要件が緩和されています。以前は売却前に耐震改修または取り壊しを済ませておく必要がありましたが、改正後は、譲渡した年の翌年の二月十五日までに、買主が耐震改修または取り壊しを行った場合でも、特例の対象になるようになりました」。雄二は耳を疑った。自分で先に費用をかけなくても、特例を使える道があるというのだ。

「つまり、古家付きのまま売却して、買主が購入後に取り壊すという形でも構わないのです。買主にとっても、古い建物をそのまま引き継いで自分の計画に合わせて解体や改修ができるというメリットがあり、以前よりも買い手が見つかりやすくなったと言われています」。税理士はそう説明してくれた。雄二は、これなら自分で初期費用を負担する必要がなく、資金面での不安が一気に解消されることに気づいた。以前の制度では、売主が先にリフォームや解体の費用と手間を負担しなければならず、それが空き家売却を進める上での大きな障壁になっていたのだという。

雄二は不動産会社と相談し、古家付きのまま売却活動を進めることにした。買主として名乗りを上げたのは、この土地に新築住宅を建てたいと考えていた若い夫婦だった。契約書には、買主が譲渡の翌年二月十五日までに建物を取り壊す予定であることを明記し、実際に契約後、速やかに解体工事が行われた。買主側の解体スケジュールを事前に確認し、期限内に確実に完了することを見届けておく必要があるとの助言も、税理士から受けていた。

雄二は、この経緯を証明する書類を税務署に提出し、無事に三千万円の特別控除の適用を受けることができた。譲渡所得から控除される金額が大きく、結果として納める税金も当初想定していたよりかなり少なく済んだ。当初、耐震改修や解体の費用を見込んで諦めかけていたことを思うと、この改正のおかげで大きな出費を避けられたことに、雄二は改めて安堵した。

この経験を通じて雄二は、税制改正によって、これまで負担が重かった手続きが実情に合わせて見直されることがあると学んだ。古い情報のまま「うちの実家は特例が使えない」と思い込まず、売却を検討する段階で、最新の制度を確認しておくことの大切さを、雄二は身をもって理解した。手続きを終えた後、雄二は同じように実家の空き家問題を抱える友人にこの制度改正のことを伝え、早めに専門家へ相談するよう勧めている。

学びのボックス

空き家の3000万円特別控除とは相続した被相続人の居住用家屋(空き家)を売却した際、譲渡所得から3000万円を控除できる特例。
従来の要件以前は、売却前に耐震基準を満たす改修を行うか、建物を取り壊して更地にしておく必要があった。
2024年からの緩和内容令和6年1月以降の譲渡から、譲渡の翌年2月15日までに買主が耐震改修または取り壊しを行った場合でも、特例の対象になった。
売主・買主双方のメリット売主は解体・改修の初期費用を負担せずに売却でき、買主も自分の計画に合わせて改修・解体ができるため、買い手が見つかりやすくなった。
手続き上の注意点買主による改修・取り壊しの期限や実施状況を確認し、それを証明する書類を税務署に提出する必要がある。

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